オランダのオリエンテーションビザ(日本人&フィリピン人配偶者の場合)
(この投稿は note.com に掲載したものです)
オランダに移住するために、オリエンテーションビザというプラグラムを利用した(Residence permit for orientation year)。このノートでその流れをメモしておきく。
ここに書くことは2022年に私が申請したときのもので、ケースバイケースの要項もあると思うので参考まで。最新情報はオランダ移民帰化局(IND)の Residence permit for orientation year を参照していただきたい。
申請要件 #
私の使った申請要件は、「世界ランキング200位以内の教育機関で、修士もしくは博士課程を過去3年以内に卒業したもの」というものだった。
この「世界ランキング200位以内」というのは、専門分野別のランキングも利用できるので、大学総合で200位以内でもチャンスはある。
ちなみに私のデラウェア大学は心理学のランキングで176 − 200位とギリギリだった。ラッキー。
(余談だが、個人的にはこのような大学ランキングは実際の大学の品質とあまり関係ないことも多いので、あまり信用してはいない…。)
そのほかにもオリエンテーションビザの申請要件には様々なものがあるので、詳しくは IND のサイトで確認していただきたい。
必要書類 #
申請にあたってはフォーム 9571 を利用した。フォーム 7523 というのもオリエンテーションビザようにあるが、それはオランダ国内居住者向けである。私はアメリカに居住していたのでフォーム 9571を使っての申請だった。
必要書類はフォームの中に書いてあるので、それを揃えていけば大丈夫だ。(と思っていたが2つも地雷を踏んだ)
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フォーム 9571 (海外在住者向けオリエンテーションビザの申請書)
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フォーム 7601 (前歴書・犯罪歴などがないかどうか申告書)
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大学ランキングのスクリーンショット(2枚別々のサイトから)
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Nuffic からの成績証明(地雷1)
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PhD ディプロマ
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妻のビザのための結婚証明(地雷2)
私の PhD はアメリカでだったので、英語の能力証明は不要だった。申請料金は207ユーロ。
申請の流れ #
下に申請の流れをまとめておく。申請の準備を始めた当時、私はアメリカで OPT 中。F1(学生ビザ)の滞在期限は8月31日まで。それから60日の猶予期間で、10月末までの滞在ができる計算だった。それまでにアメリカ国外に出なければいけなかったので、早く申請始めようと思い3月ほどから準備を始めた。しかし、最終的にはかなりギリギリになってしまうのだが・・・。
Nuffic/idw 成績証明入手 #
まず初めに着手したのは Nuffic/idw からの成績証明。初めは、「博士課程だけの証明なら楽チン〜」と思っていたのだが、Nuffic から、「博士課程のみの成績証明はできない。今まで履修した全ての高等教育の証明を送れ」とのこと。これが一つ目の地雷を踏み込み始めたというサインだったとは。
まずは博士課程・修士課程の履修証明。これはネットで Nuffic に送れてスムーズに完了。しかし大変だったのはフィリピン・セントルイス大学からの証明を送ってもらうこと。 Nuffic の要件がかなり厳しいものだった:
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学校から Nufficc へ直に送ったものは受理できない
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まずは学校から成績証明をフィリピンの CHED (高等教育省)に送り、Certification, Authentication, and Vertification (CAV) という証明が必要
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その上で CHED から Nuiffic に直接送った履修証明しか受理できない
とのこと。これってフィリピンの教育システムを信用していないということなのか・・・。
文句を垂れていても仕方ないので、母校であるフィリピン・セントルイス大学へ成績証明書を CHED で CAV してもらいたいと問い合わせ。しかし、窓口でしか発行していないので、本人か代理人が取りに行かないと無理だと。私、今アメリカなんですけど・・・。
代理人は妻の姉夫婦(フィリピン在住)に頼み、書類をとりに行ってもらったのが3月31日。大学からは書類が準備でき次第連絡するとのこと。
それから一週間・二週間と時が過ぎ、待てど暮らせど連絡がない。こりゃ大丈夫かと思い、4月28日に大学に確認のメール。そして5月2日に準備できましたとの返事があった。
義理の姉に書類を取りに行ってもらったのだが、大学の方からは外務省(DFA)に持って行ってアポスティーユしてくださいとのこと。(ここで義理の姉が成績証明と CAV の写真を撮ってくれていたことが後々重要に。グッジョブ。)
Nuffic に成績証明のアポスティーユは必要か、と問い合わせると不要との回答。また、代理人から Nuffic に送っても OK とのこと。なので、そのまま郵送することに。この時点で 5 月の下旬だった。
しかし、書類が届かない。6月下旬になっても郵便物のトラッキングはフィリピン国内のまま。
これはやばい・・・。Nuffic に書類が届いたとしても、その認証に4〜6週間はかかるというし、アメリカの滞在許可はは9月末まででそのあとはグレースピリオドに入ってしまうし。とちょっとパニック気味に。
なので、CHED にメールで Nuffic に CAV を送ってもらえないかと直談判。義理の姉が撮っておいてくれた成績証明と CAV の写真をメールで添付した。そうすると、すんなりそのままそれを CHED が Nuffic のメールに転送、そして受理。7月4日でした。
最初からそうしとけばよかったやん。。。
これからまた Nuffic の審査待ちか・・・。オランダ大使館のアポイントメントが迫っており書類も出さなければいけないんだが、と Nuffic に一応連絡。そうすると7月20日にはもう証明完了しましたと。ちょくちょく連絡するの大事なのかも、ということを学んだ。
在ワシントン DC・オランダ大使館での手続き #
Nuffic/idw での成績証明の取得と並行してオランダ大使館で V-Number を取得するためにアポイントメントを予約。これは成績証明の結果が出る前でも OK なので7月19日の予約にしていた。
オランダ大使館の方はめっちゃ親切で、アポイント前のメールにも、当日の対応もとてもきめ細かだったのは感動した。
妻と一緒に大使館に向かい、パスポート・提出書類の確認、そして指紋の登録をした。
V-Number が外務省のシステムに登録されるまで一週間は待てとのことだったので待ち、それから申請料金を振り込んだ。そして8月3日、申請書類を IND (オランダ移民局)へメールした。審査には90日以上かかるかもよーと返信があるが、アメリカへの滞在期限が迫っている中、悠長なことは言ってはいれられない。IND へメールをし、そのことを説明。そうすると9月2日には MVV(長期滞在許可)が発行された。
が、それは私だけの MVV。妻の分はなんと書類不備と。。。
フィリピン婚姻証明書の不備 #
妻宛の IND のメールで、結婚証明書がアポスティーユされていないので受理できないとのこと。確かに盲点だった。。
結婚証明書の原本自体は手元にあったのだが、アポスティーユはされていない。アポスティーユをするためには、フィリピン国内でしかできないのでまた困ったことに。
そこで、エージェントを利用して、フィリピンで結婚証明書の再発行・アポスティーユを代行してもらうことにした。利用したのは Nordic Authentication Agency というところ。ウェブサイトは少々怪しいが、詐欺でなかった。
エージェントはまず PSA (Philippines Statistical Authority; フィリピン統計局) で委任状を使い結婚証明書を受け取り。その後、DFA (Department of Foreign Affairs) でアポスティーユの受け取りだったのだが、結婚証明書の LCR (Local Civil Register) のコピーが必要という問題が (LCR Form 3A)。なぜ DFA は PSA の書類を怪しがるのか・・・。しかし LCR はちゃんと手元に持っていたので OK。9月2日に依頼して、手元にアポスティーユ済みの結婚証明書がアメリカに届いたのは9月19日だった。
MVV ステッカーをオランダ大使館で受け取り(郵送) #
さて、全ての書類が揃い、IND からオランダ大使館で MVV のステッカーを受け取るようにとのこと。MVV とは仮滞在許可証で、90日以上の滞在ができるビザ。これを持ってオランダに入国し、それから在留カードを受け取る流れだ。(日本人は基本的に MVV は不要だが、フィリピン人の妻と一緒に渡航するため、私も申請した。)
MVV の受け取りは郵送での手続きを選択。ここで再びオランダ大使館の敏腕担当者の方にお世話になった。パスポートは9月20日に発送、9月28日にはステッカー付きのパスポートが帰ってきた。ホンマ、お世話になりました。
オランダでの在留カードの受け取り #
MVV 受け取りと同時期に、IND から在留カード受け取りのためのアポイントメントを予約するようにと連絡がある。予約サイトで予約を取らなければいけないのだが、支所によっては直近の予約はすぐ埋まり、一番近い日付を予約したければ毎日チェックしなければいけないなど大変。私は、Visual Ping というサイトを使って、アポイントメントの空きがあればメールを送る設定にしていた。
最終的にアポイントメントが取れたのはデンボスの支所。この時はデンボスに住むことになるとは思っていもいなかったが。。
その後、10月の中旬にオランダに渡航し、無事在留カードを受け取り、めでたくこのビザ・在留許可の手続きは幕を閉じたのだった。
まとめ #
日本人なら本当は MVV ステッカーは必要無く、オランダに渡航して手続きも可能なのだが、フィリピン人の妻と一緒に渡航したかったので MVV を取得するルートを選択した。手探りでの申請だったのでかなり時間がかかってしまった。時系列をまとめると:
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成績証明書:3月〜7月(5ヶ月!)
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申請&審査:7月〜8月(2ヶ月)
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不備解消&MVV 発行:9月(1ヶ月)
計8ヶ月。もっと効率よくすることもできただろうが、それは今だから言えることかも。
今はオランダに移住できたことに感謝!
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